慶應SFC出身の起業家達のメッセージ

sfcLife

(この記事は2020年春学期に受講した授業の振り返りです)

SFCには「SFCスピリッツの創造」という講義がある。
毎回SFC出身の起業家がゲストに呼ばれ、学生時代にどのような事をしていたか、どのようなマインドで人生を生きていくかなどについて、とても情熱的に語りかけてくれる。
そんな「SFCスピリッツ」に溢れた講義も今年で最後だそうだ。

この記事では、今回の講義でお話ししてくださった11人の起業家達一人一人について紹介しようと思う。

第1回ゲスト今村久美さんNPO法人カタリバ代表理事

どのような環境でも
自分の未来を想像する事の楽しさを知る

世の中には意欲的に学ぶことが許されている人とそうでない人がいる事に気付いた今村久美さん。
教育を学校に丸投げせずに、別の場所にも作ろうという思いから、NPO法人カタリバを設立。
コロナ禍の今は、カタリバオンラインとして「親」以外の居場所、繋がりを提供している。

第2回ゲスト渡邊康太郎さん『Takram』デザイン会社を設立

偶然は運ではない、
偶然であったかは後からしかわからない

渡邊康太郎さんは、「コンテクストデザインとは「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」である」をモットーにデザイナーとして活躍している。
「新たな価値は「誤解」を許容するところから始まる」という言葉がとても印象深かった。スマホのせいで自分で考える能力が落ちているとおっしゃっており、確かに自分で考えようとする前にいつもスマホを頼ってしまっていると痛感した。
新しい物を生み出す時は〈鑑賞→解釈→創作〉の過程が大事だそうだ。

第3回ゲスト閑歳孝子さんZaim代表取締役

ノブレスオブリージュ
得た能力と環境とお金を
社会や身近な人へ還元するべき

大学在学中に「SFC-mode」を共同開発し、物を通して自分が評価される喜びを体感した。
大学卒業後は記者やエンジニアなどの経歴を得て、家計簿アプリzaimを開発。
事業のテーマにお金を選んだ理由は、お金の使い方によって人生は大きく変わるものであり、自分自身がどうしたいかを考える際にお金が大事だと感じ、サービスを通して、人生の選択肢を広げ自分の可能性を発見できると考えたからだそうだ。 
我々が何で稼げばいいか考えた時に、自分が夢中になれる事でお金になるテーマは何かを考えることが大事であり、収入があるならば仕事である必要もないという言葉を残した。

第4回ゲスト千葉功太郎さんDrone Fund代表

目標を持って計画を立てるという逆算思考

「投資というのは自分の有限資源のリターンを考える事である」とおっしゃった投資家の千葉功太郎さん。
テクノロジーで世界の課題を解決しようという思い出、空を活用したドローンの発展性を見出している。
今はまだドローンに対して恐怖心を持っている人が大多数だが、いずれ社会的需要が増し、便利さが恐怖心をかき消すと断言していた。
SFCスピリッツとは「終わりのない旅を生きる事」だそうだ。

第5回ゲスト柳澤大輔さん面白法人カヤック 代表取締役

起業しようとしてマイナスになることはない
失敗しても話のネタになる

柳澤大輔さんは、大学時代、起業したいという思いは強かったが、起業して何をするかは決まっていなかったそうだ。
ただ起業して、自分達が好きなように物事に取り組み、そのうち周りの人からも面白い人だと言われ、次いで誰かの人生を面白くするという漠然としたマインドで起業した。
起業する際に、一番大事なのはお金の配分であるとおしゃっており、何人かで共同起業するとお金の話で揉めるそうだが、それを解決するためにサイコロで給料を決めるという方法をとったそうだ。
また、共同起業では評価軸の価値観が一緒の人が大事だそう。 
学生時代にしておいたほうがいい事は?の質問に対しては、物理的な筋肉を伴う訓練とその習慣をつける事と、英語力を身につけることが大事だとおっしゃっていた。

第6回ゲスト松尾卓哉さん株式会社17にて広告作り

自信がない人の言葉は誰も聞いてくれない

個人的に全てのゲストの言葉の中で、一番自分に響いた言葉である。
今までの私は、自己肯定感が低く、自信を持てと言われても自信を持てるほど自分は大した人間ではないと自負していた。
しかし、この言葉を聞いて、自分が自信を持つ事に対してどう感じるかというより、周りの人からどう思われるかに影響してくるという事を痛感した。 
「自分を信じる」事は、大人になるにつれて難しくなってくる物であり、もし孤独になった時は130年遡るだけで、64人の先祖がいることを思い出す事で、私たちは魂で繋がっている事を感じる事が出来ると言う。

第7回ゲスト門松貴さん内閣官房長官秘書官

今あるルールに従うのではなく、
現在のルールを疑って新しいルールを作っていく

「自分が文系か理系かでいうと、どちらも繰り返していた」と言う門松貴さん。
文系理系の壁・組織の壁・規制の壁を壊して、今までのルールや暗黙の了解のようなものにとらわれず自由な発想で、新たな考えを導き出してほしいとおっしゃっていた。 
SFCでは自主的・論理的に学ぶことが大事だそう。

第8回ゲスト江渡浩一郎さん産業技術総合研究所主任研究員 メディアアーティスト

多くの人が同意しない未来を考えて、
それを当たり前の世界にしていく

よくSFCでは在校生のことを「未来からの留学生」と表現されることが多いが、どうすれは「未来からの留学生」になれるかを常に唱える事が大事であるとおっしゃる江渡浩一郎さん。 
例えばニコニコ動画において、最初はただのYouTubeのパクリであったが、それを生かして新しいコンテンツに革新させたように、イノベーションとは技術の使われ方の革新であると言う。 
共創と協業という言葉は一見同じ意味のように感じられるが、共創は問題に取り組む単一アプローチを設定しておらず、協業は同じ目標に向かってそれぞれが物事に取り組み利益分配を行う、という相違点がある。

第9回ゲスト平尾丈さん株式会社じげん 代表取締役CEO

とにかく一歩を踏み出す

大学入学前からIT社長になりたいという漠然とした夢だけがあり、具体的に何をするかは決めていなかった。次第に社会の問題を事業で解決したいという考えが生まれ、生活機会の最大化を生かしたインターネットサービス事業を起業。 
平尾丈さんのロールモデルの共通点には「Entrepreneurship」があり、常に先を見据えて行動し、エネルギッシュな人達であるという。 
起業家には3つのC「Chance」「Challenge」「Chance」があり、また必要なマインドとして「リーダーシップ」「当事者意識」「圧倒的なエネルギー量」「パターン認識力」「メタ認知能力」を挙げていた。
「Entrepreneurship」において、ライフビジョンを描き、スキルを身につけ、インプットアウトプットしていくという〈will→skill→action〉の循環が大事だそうだ。

第10回ゲスト小林正忠さんRakuten  chief will-being officer

「自我作古」-前例がないなら自分が作る

SFCで「パイオニア精神」と「仲間」を手に入れた。
「金を使うより頭を使え」とう楽天社長の三木谷さんの言葉に倣って、出来ない理由を見つけるより、出来る方法を探す事が大事だとおっしゃっていた。 
何事に関しても、ない(愚痴)、いない(言い訳)で逃げるのではなく、挑戦する事に意味があり、そうする事によって自分の道が開ける。 
「コロナ一期生としてこの機会をチャンスに変えるべきでは」と今だからこそ出来る事を考えるべきだと感じた。

第11回ゲスト駒崎弘樹さんNPO法人フローレンス代表理事

初めてを生み出し、社会をアップデートしよう

大学卒業後、ITベンチャーを起業したものの、誰かの為になっていると感じる事がなく、事業で社会問題を解決したいという思いがあった。
そこで、子供の体調のせいで仕事を辞めざるを得ない親がいる現状で、その社会をなくす為に今までの保育園とは違う新しい仕組みづくりを考え、NPO法人フローレンスを設立。 
必要な時にだけ家へ出向くタイプの保育の仕組みをつくり、一時間いくらという時間制ではなく、利用率に応じた月額制(自動車保険方式)にするという革新的な発想で多くの人の共感を得られた。

まとめ

 ここまで11人の起業家達が話してくださった事について、簡単ではあるがまとめてみた。 
 SFCは他の大学に比べて起業家精神に溢れた人達が沢山いると入学3ヶ月目にして感じているが、今までの自分は特にそういう事にはあまり興味がなく、ただただ自分が好きな分野についての知見を深め、人生の夏休みとも呼ばれる大学生活を過ごし、どこかの企業に就職するのかなと、ただぼんやりとした将来を見据えていた。
 しかしこの授業を受けて、こんなにも情熱に溢れて何かに取り組んでいる人がとてもかっこよく見え、いつの間にか羨望の眼差しに変わっていった。 
 この方達のような有意義な大学生活が送れる自信があるかといえばまだないが、この授業を受けた事でこのような感情が生まれたという事自体、自分の成長に繋がっていることは確かである。

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